近年見直されてきた東洋医学。その大きな特徴として、身体自体が持つ治癒能力を高めることに重点をおいていることがあげられるでしょう。東洋医学でまず思い浮かぶのが漢方薬ですが、なかでも貴重薬として珍重されてきたのが「高麗人参」です。古くから高麗人参は人間の身体を健康的に維持していくために、予防、また治療において、効果のある薬草として利用されて来ました。『神農本草経(中国医学の三大古典の一つ)、『東方宝鑑(李氏朝鮮時代の医書)』、『郷薬集成方(朝鮮三大東医古典の一つ)』など、多くの書物で高麗人参の効用について述べられています。高麗人参の薬効について朝鮮の三大古典のひとつに次のように記されています。
- 高麗人参の薬効
- 「五臓を補い、精神を安定させ、驚いたときの胸の動機を抑え、邪気を払う。目を明るくし、心気をたすけ、胃の冷えを癒し、腹痛、胸や脇のつかえ、かく乱と吐き気を治療する。渇きを癒し、血行をよくし、かんしゃくをほぐす。記憶力をよくし、長時間使えばからだが軽くなり長寿する」
また、現在中国では、高麗人参の薬効を「人参七効説」とし、次のように提唱しています。
| [人参七効説」 | |
|---|---|
| 体力増進作用 | 疲労を回復し、体力をつけ、老化を防止する。 |
| 造血作用 | 造血作用:貧血、低血圧、心臓衰弱を治す。 |
| 精神安定作用 | 自律神経失調症などの改善。 |
| 渇きの解消作用 | 肌やからだの渇きを潤し、糖尿病などを改善する。 |
| 呼吸器系疾患に効果的 | 肺の力をつけ、せきを鎮める。 |
| 消化器系の機能維持 | 胃を丈夫にし、腸を整え、便秘や食欲不振を改善する。 |
| 皮膚病の癒し効果 | 皮膚病や肌荒れの改善。 |
高麗人参は英語では「ginseng(ジンセン)」。普段、野菜として食べられているにんじんは「carrot(キャロット)」。このことからも分かるように、高麗人参と野菜のにんじんはまったく異なる植物です。
高麗人参は和名では「オタネニンジン」。ウコギ科の多年草で、ウド、タラノキ、ヤツデの仲間です。一方、野菜のにんじんは、セリ科の1、2年草の植物です。
高麗人参の学名では「panax ginseng(パナックスジンセン)」と言いますが、これはギリシャ語で“万能”という意味。文字どおり万病に効果があることを示しているのです。現在では、東洋医学にとどまることなく、世界中の医学者からも注目を集めています。
高麗人参を一度育てた畑は、その後15年は使うことができないといわれています。それほど高麗人参は土の中の栄養をあますところなく吸収しているということなのでしょう。

高麗人参には紅人参と白人参がありますが、そもそも赤い人参や白い人参があるわけではありません。
自然状態のものを「水参」、長期保存できるように、5~6年栽培して皮をはがずに蒸して処理したものを紅参、栽培年数が4~5年で根の皮をはいで乾燥したものを白参といいます。
収穫したままの生の人参が一番安く、次に乾燥させた白人参、その次に蒸した紅人参と、価格が高くなります。また、さらに高級なものは、山に自生している山人参です。
韓国では昔から人参は漢方薬の配合に無くてはならない材料でした。しかし、昔は生の人参を保管するのも難しかったので、乾燥させることによって長く保存させることを可能にしていたのです。
ところで、高麗人参やその製品を購入しようとすると、必ず「○年もの」という表示を目にしますが、これは栽培の年数を表すもので、年を増すほど価格も高くなります。

高麗人参には、ジンセノサイドをはじめとするサポニン配糖体を主成分に、ビタミンB1 や ビタミンB2、亜鉛、マグネシウム、カリウム などのミネラル、必須アミノ酸などの有効成分が多く含まれています。
高麗人参には他の植物に比べて「人参サポニン」または「ジンセノサイド」と呼ばれるサポニン配糖体が多く含まれていることが分かっています。なんとその数は30種類以上。これほどのサポニンが含まれている植物は高麗人参しかありません。
サポニン配糖体は、体内の細胞や臓器の働きを活発にし、
虚弱体質の改善や肉体疲労の回復、滋養強壮などの効果が認められています。
その他に、血管を広げ、血流をよくし、血液中のコレステロール値を下げることによって、高脂血症や動脈硬化なども予防するといわれています。




